前回のブログでは過去をくよくよしないことが健康につながる理由を書きました。
今回は未来に対する不安に悶々とすることによっていかに健康を失うかについて書いてみたいと思います。取りこし苦労というのはまだ起きてもいないことを心配し不安を常に抱いてしまうことです。
例えばこの体調不良は深刻な病気ではないか、もっと悪化するのではないか、治らないのではないか、死んでしまうのではないか、仕事を失うのではないか、家族も不幸になるのではないか、この先もっとつらいことが起きるのではないか、仕事や受験が失敗するのではないか、なにか悪いことが起きるのではないかなどと心配を大きく膨らませてしまうことがあります。
自律神経の崩れや内分泌系の異常、脳神経の異常などが考えられるお病気の場合、この心配性が強くなり、神経症へと発展してしまうことがあります。
当院に来られる方でも多いのが自分の体への心配が強すぎて気が休まらなくなっている方です。やせていないのにやせてきたといつも気にしている、胃がおかしいといつも胃の不調を気にしている人、首が痛いといつも首が気になってしまう人、病院で検査をして異常が見つからなかったら違うところの不調が今度は気になりだすことも特徴としてよくあります。
これは神経症の特徴です。病気ということではなく、不安神経症という症状で常に何かが不安になってしまいます。経済的なことだったり、家族やパートナー、友人のことが気になってしょうがなくなり、いなくなってしまうのではないか、などと心配してしまうことがあります。
普通に生活できている人も少なからず心配性の方がいます。自分の性分だからと何も対策をしていないと将来神経症に発展してしまうことがあるので少し注意しましょう。膀胱の過敏症の方がよくいらっしゃいますが、元々心配性だった、くよくよする性分だったと言われることがよくあります。長年の心配で神経が疲弊し、脳神経の誤作動が起きてしまうことがあります。これによって過敏症や慢性痛が発生するという研究があり、私は個人的な体験からこの説に確信をもっています。
未来のことはまだ起きていないのですから心配せずに安心して現在を寛ぐようにするのです。これが健康であるために絶対的に必要なことなのです。
あなたが今、精神的な不調、過敏症、自律神経失調症などを発症しているのなら、何よりも効く特効薬は「安心」なのです。あなたの心には安心が失われていませんでしたか?
あなたの脳はいつも未来を予想し、戦闘態勢、もしくは危険をより早く察知して逃げようという非常事態モードになっていませんか?
もしそうであるなら自律神経はいつまでも崩れたままかもしれません。どんな薬を飲んでも一時しのぎです。どんな治療、療法を受けても前に進むのはわずかかもしれません。
なぜ未来を心配してしまうのか?それは前回のブログに書いた過去をくよくよしてしまう心境が影響しています。過去を思い出すことが多い人ほど未来も予測します。あなたが予測している未来は過去の記憶の反映です。過去にこんなことがあったから未来はきっとこうなる、過去の失敗やつらい出来事、いやな体験に引っ張られている人ほど未来に対して楽観的になれず、悲観的な予測をしてしまうのです。
まず過去をみない、過去は私になんの影響も与えることはできない、現在の自分がすべて選択することができると強く思うことです。過去に失敗したから今回もできない、私はこれが苦手だ、怖い、できない、きっとこうなると決めつけてしまうのは過去の幻影に振り回されているのです。
どうしたら過去の幻影に振り回されず現在をまったく新しい今として生きることができるのでしょうか?未来を心配せず、安心して現在を過ごせるのでしょうか?
私が完璧にできるわけではありませんが、私自身が行っていることをお伝えします。これで私は確実に過去に振り回されず、未来を心配し過ぎずに現在を安心して寛げる割合が増えました。そしていつも精神が安定するようになりました。私も強い不安神経症になったことがあります。そんな私でも治ったのですから、心配する必要はありません。
私がお伝えしたいのは「受容」です。過去を受け入れ、未来を受け入れる受容です。
私たちはみんな本来強い心を持っているのです。ただその強い念を恐怖の方に向けてしまい、弱い心を抱いてしまっているのです。自分の心を強くしようとするのではなく、元々ものすごく強いものであるということを信じて下さい。いずれ実感できるようになります。現在の心は病気や災難に向いてしまっているのに気づいてください。病気は怖いという潜在意識に振り回されているのです。周りを見れば病気の人であふれています。みんな病気を恐れ、悪くなることを恐れています。自分の健康はすぐにでも倒れてしまうほど弱いものであり病院や薬に頼らなければすぐにでも崩れてしまうものである、このような潜在意識がいつのまにか作られ、強化され、その力に圧倒されています。親が心配性だったかもしれません。友達や上司の影響かもしれません。大事なのは人のことではありません。心の向きをどこに向けるか、それがどれほど大切なことなのか、あなたはまだ気づいていないのではないでしょうか?
まずは病気が怖い、死ぬのが怖い、という潜在意識に振り回されている心に気づき、すっかりだまされていたということに気づいてください。本来の心も体も本当は強いのです。病気は怖くない、自分には治る力がある、周りが感染症にかかって治らないの慌てふためいても、自分は感染しない、自分は大丈夫、感染しても自分は重症にならない、自分は寝てれば大丈夫。このように心の向きが変わることが何より大切なのです。自律神経の崩れなども本来自然に治るのです。
そしてどんな過去もまるごと受け入れることができるほど大きな心であると気づいてください。
そして未来にどんなことが待っていようが自分はそれをまるごと受け入れることができると思ってください。未来は不確定です。それを現在心配しているおろかさに気づき、手放します。過去も手放し未来も手放す。すると現在が輝きだします。ほんのささいな出来事に気づく静けさが訪れます。小さな喜びに気づくことができます。現在をしっかり生きるということが実は未来を最善にすることに繋がります。グラウンディングの本当の意味は今にいるという意識を強めることです。これによってどんどん自分の生命力が強くなります。