病気の原因はいろいろあります。食事も大きな原因のひとつですし、運動不足、不規則な生活、睡眠不足なども原因として考えられます。
私はそれらに増してストレスこそが最大の原因であると思っています。食生活が乱れるのも、生活が不自然に偏るものもストレスが根底にあることが考えられるからです。
ストレスと言っても悩みや問題を抱えていることだけがストレスとは限りません。自分で気づいていないストレスこそが慢性病の元になっていることがよくあります。
とても簡単に書くと、苦しい感情などを自分の中に溜めこんでしまうストレスです。消化することのできない感情やもつれたままになっている問題意識などが潜在意識に溜まってしまうのです。
中でも最も毒素として働くのが怒りのエネルギーです。怒りを自分の中に溜めこんでいくと、それはいずれ病気として現れます。自分の中に溜まった怒りのエネルギーがお酒を引き寄せたり、不自然な行動を引き起こしたり、生活を乱れさせていき、体も心も病んでしまうのです。また生活が乱れなくても怒りのエネルギーが体を破壊してしまうこともあり、それに通じて精神もダメージを受けてしまうのです。
体に古いエネルギーがたまると精神にも影響が出ます。怒りや燃焼することのない感情や不安、不満などがやがて不健康な状態となって自分に返ってきてしまいます。
病気が発症するのはため込んだエネルギーが噴火したのと同じかもしれません。これ以上溜めこむことを体が拒否反応を起こし、病気として現れたのだと思います。
怒りを溜めこむということは必ず自分のダメージになってしまいますので注意が必要です。
他人に怒りを向けるというのはわかりやすいですが、その反面、自分に対しても批判しているということがよくあります。自分のことを批判するエネルギーはとても体を痛めます。だんだんと何に怒っているのか、何が苦しいのか、なぜつらいのか、わからなくなってしまいます。自分が自然の反応として出た怒りの感情に対して複雑な感情が混ざりあい、どんどん濁っていくという現象が起きるからです。
どのようにしたら怒らない自分でいられるのでしょうか。自分の心の中をすっきりとさせ、青空のように澄み渡る状態を一日のうちにわずかでも持てれば病気は自然に治っていきます。そのためには「怒るくせ」に対して「気づき」を向ける必要があります。
何か不都合なこと、不満に思うこと、いやなことが起きた時、自然に怒りが出てくると思います。この時、自然に出てくる怒りを問題視する必要はありません。大切なのはこの後です。
できるだけ早く、怒りの感情、思考に対して「気づき」を向けます。少しだけ外から自分を眺めるようにして、怒りを客観視します。そして10秒たたないうちに怒りの感情や思考を自分から切り離してしまうのです。
思考は怒ってしまった自分を擁護します。理由を述べだし、正当化しようとします。これらの思考が止み終わるのを待たずに、思考の途中でも自分から切り離してしまうのです。思考に区切りがつくのを待つ必要はありません。それをしていてはいつもの習慣に流されていきます。その習慣から抜け出て、新しい習慣を身につけるためには「気づき」が大切です。
流されそうになっている自分に「気づき」、また考えようとしている自分に「気づく」のです。何度もこの作業を行っていると新しい習慣が身についてきます。一度切り離されても怒りはまた返ってくるかもしれません。しかし一度切り離すことに成功していると前より粘着力が弱まっているのを感じられるかもしれません。そうなのです。怒りもそうですが不安も自分にぴったりと粘着している時は一体化しているようにしか思えませんが、何度も気づきを向けていると粘着力が弱まってきていることがわかってきます。もう一度ぴったりくっつけることも簡単にできてしまいますが。
古い習慣は体質となっていますので、新しく書きかえるのは簡単ではありません。それでもそれを可能にすることができるのは、新しい習慣に生まれ変わりたいと思う価値観です。
怒りはもういらない、怒ることはもうやめたい、感情をためこんで苦しむ自分はもう捨てたい、いつも体も心も軽く、悩みのない自分でいたいという価値観が古い習慣に勝つことができれば、いつでも人は変われます。
これは意識的に生きるということでもあります。古い習慣に流され、ここから抜け出ることができないと思ってしまう人は無意識に生きているということができます。意識的に生きるということは、動かされないしっかりとした自分の価値観に目覚め、いつでもどんな時でも自分を見失わずにいたいと思うことです。自分がどのように生きたいか、自分の人生の中で本当に大事にしていきたいものはなんなのか、これらが漠然としている人は古い習慣からなかなか抜け出ることはできないのです。
どうして自分を批判してしまうのか、その答えは自分に自信が持てないからです。これまでの人生を振り返って、自分に対して疑っているからです。自分はこうなんだ、自分はいつもこうだったと、自分自身にレッテルを貼ってしまい、それを思いこんでいるだけなのです。
私がそうであったように、自己批判の悪循環から抜け出ることは簡単ではありません。しかし必ずできます。自分しかその呪縛から抜け出ることはできません。
まず大切なのは「気づき」を何度も向け、新しい価値観に修正していく意識です。自分が本当に変わりたいと思わない限り古い殻が破れることはありません。
そして自分の短所にばかり目が向いてしまっているということに気づいてください。短所は誰にでもあります。その短所ばかりを見る習慣がついてしまっているのです。
あなたの短所をすべて集めても、あなたの長所にははるかに及ばない、ということに気づいてください。
短所など見なくていいのです。短所を治そう、治そうと苦しまないでいいのです。それよりもまずは長所を見つけてください。子供のことからずっと長所はあったはずです。その長所を見て、自分をほめるのです。自分は自分が思っているほどだめな存在ではありません。今は病気になってしまっているかもしれませんが、それも一生懸命頑張ってきた証です。責めることをやめるべきです。恥じることはありません。すべてを認め、受けいれてみてください。そして自分のよいところをたくさんほめてあげてください。
自分はこのままで素晴らしい。そう思えた時、自己批判の苦しい悪習慣の渦は消えていきます。
そうするともう他人を批判する必要が無くなっているのに気づくと思います。
私自身、毎日死のうとしてしまうほどの自己批判の悪循環から抜け出ることができたのは、自分の短所を見ずに自分の長所を思い出し、自分は素晴らしい存在だと思う、死ぬ必要はないと思えたことがきっかけとなりました。それまでの自分は短所ばかりを責めて、過去の失敗を思い出し、自分は生きる価値がないとだんだん思いこんでいたことに気づいたのです。
現在、大きな病気を患っているのではなく、怒りの感情が多くなっている、自分の中にため込んでいると感じるのであれば、怒らない自分を新しい価値観と共に見つけてみてはと思います。