最近は筋膜ストレッチの本などもたくさん見られ、筋膜という言葉も一般的に知られるようになってきました。
私の施術も筋膜をまず重視します。浅い筋膜の全身に繋がるラインをまずゆるめて、それから深い筋膜を緩めていきます。筋肉だけを見ないで筋膜の繋がりを見ることで、痛みの原因にたどり着くことができます。
例えば首痛ですが、首が痛いから首だけに問題があると考えてはいけません。首にも筋肉の硬結(コリ)があり、そこを押したりもんだりすれば気持ちよく感じますが、筋膜の繋がりで見れば首だけに問題があるわけではなく、別の筋肉の筋膜が硬直していることで「しわ寄せ」が起こり、首に症状が出ていることがあります。
首の筋肉に繋がる筋膜のラインは複数あり、全体を見ながらどの筋膜、筋肉にアプローチするか見極めることが大切になります。例えば首から肩を覆う僧帽筋は肩の三角筋と繋がっており、肩の三角筋の硬直やそこから伸びていく上腕三頭筋などが硬直していることもあります。そこから腕の伸筋群を通り、小指のラインに硬直があることもあります。
この場合は手首や腕から緩めていくことが首痛を改善することに繋がります。また大胸筋、小胸筋の硬直が背中の肩甲骨近辺の筋肉(菱形筋、棘下筋など)に影響を与え、首の痛みに繋がることもあります。肩の関節に繋がる筋肉はそれぞれが癒着し動きを悪くさせることで筋膜に影響が出ます。
首や肩の痛みを取る場合、それぞれの筋肉の連動を重視し筋膜から緩めていくことが大切です。首はほとんど触らなくても首に繋がる筋肉から緩めていくことで結果的に痛みが和らぎます。
またこのやり方をすると一時的な改善ではなく、機能全体の回復に繋がり、慢性痛から解放されることが期待できます。
筋膜は本来、伸びるもので動きに合わせて必要なだけ伸びてくれます。しかし同じ姿勢を続けていたり、動いていないと、同じ長さで筋膜が硬直し、伸びなくなってしまいます。すると筋肉にコリができやすくなったり、筋肉を痛めやすくなってしまいます。
自分でストレッチを行うことはとても大切で、短い時間であっても毎日筋膜を伸ばしてあげる必要があります。すると筋肉全体が伸びて、動きがしやすくなり、疲れもたまりにくくなります。