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2015/7/30

自律神経から健康に

自律神経のバランスが崩れている人が増えています。原因は自然から外れた生活習慣が最たるものです。規則正しい生活リズムは本来健康に不可欠です。

特に夜型の生活になり、室内に閉じこもるような生活、不規則な食事、運動不足などが重なり、自律神経のバランスが崩れてしまうのです。

自律神経のバランスが崩れると、不自然に緊張や虚脱が現れます。いざと言う時に本領発揮ができない人は自律神経のバランスを見直す必要があります。また、睡眠を観察すれば自律神経の状態もよくわかります。決まった時間に眠くなり、朝自然に目が覚めるという状態が理想ですが、眠りが浅く、寝つきも悪い、寝起きも悪いというような状態が続けばそのままにしておくのはよくありません。現在の生活の質が落ちるだけでなく、将来の病気につながることが多いからです。

 

自律神経について大事なことを書いていきたいと思います。

自律神経のバランスというのはどういうことでしょうか、私なりの見解を述べていきたいと思います。自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれがシーソーのようにバランスをとっていると思われています。どちらかが活発になっているときはもう一方は不活発になります。アクセルとブレーキの関係とも言われます。このあたりの解説は検索すればいくらでも情報が出てきますのでここでは省略します。

 

私がヨガを通して理解したのは交感神経と副交感神経は数値で測れるような感覚で量を増やすことができるということです。病気の人は交感神経も副交感神経も数値が落ちています。つまり絶対量が不足してしまっているのです。ヨガの実践で交感神経の高め方、副交感神経の高め方を学ぶことができました。そのことでわかったことは、副交感神経の量が健康には不可欠であり、それによりリラックスが生まれ、自然治癒力が高まるのです。

そして、副交感神経を高めるために普通はリラクゼーションを行います。例えばお風呂に入って、アロマをしたり、音楽を聴いたり、ストレッチをしたり、とにかくリラックスをして、高まった緊張を休めようとします。しかしこれでは副交感神経はなかなか高まらないのです。

 

ここからが重要なところです。副交感神経が低下するとなかなかリラックスすることができない、眠りが浅い、常に消化器官が不安定、疲れやすい、過度な緊張などで悩むことになります。その副交感神経を増やし、安定させるには交感神経を高めるしかないのです。

 

交感神経は副交感神経の反対の作用を出すので、交感神経は活発になっているのではないかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。交感神経も実は低下しているのです。交感神経はただ興奮や緊張を促すものではありません。交感神経が豊かになることで、すべてのパフォーマンスの質を高めるのです。

スポーツ選手であれば、よいパフォーマンスを発揮するために交感神経が豊かでなくてはなりません。交感神経が高まっている時に集中力は高まり、自分の能力を超えたと思わせるパフォーマンスが発揮できるのです。一流と言われるスポーツ選手は交感神経と思わなくてもそれを感覚で理解しています。そして、いろんな原因で交感神経が低下し、それに伴い副交感神経も低下することで、思ったようなパフォーマンスができなくなり、一線から引くことを察するのです。プロスポーツ選手の場合、ほとんど40歳前にパフォーマンスが落ちていることを悟り、引退しますが、肉体的な劣化よりも自律神経の低下による原因が実は多いのです。年齢と共に急激にそれが現れることがあります。そして何か異変を感じて肉体的、技術的な対処をとりますが、実は自律神経を高めることがわかればまたコンディションは戻ってくるのです。

交感神経が低下すると副交感神経も低下するとはどういうことでしょうか、実は副交感神経は交感神経に寄り添って存在しているものなのです。そして交感神経の値が落ちれば副交感神経の値も落ちます。それは交感神経に副交感神経は依存している関係上、避けられないものなのです。そして、自律神経のバランスがよく、豊かであるというのは、交感神経の値も副交感神経の値も高く維持できている状態ということです。交感神経が優位だからと言って、交感神経が豊かではないのです。交感神経も副交感神経も低下しているのです。その低下している状態で交感神経が優位になっているだけなのです。交感神経を高めなければ副交感神経は高まりません。ですから、一生懸命副交感神経を高めようとリラックスを促しても副交感神経は低下したままなのです。

 

交感神経が豊かで充実している状態であれば、副交感神経は自然に高まります。このことが重要なのです。スポーツや芸術などでよいパフォーマンスを発揮するには、この状態が必ず必要です。芸術に関しては病んだ状態で死に直面したことで発揮できる芸術もあると思いますが。

 

パフォーマンスが落ちたと感じるスポーツ選手(もちろん一般人もですが)は交感神経を豊かにする行動をとればよいのです。そうすれば、後は簡単な努力で自律神経のバランスは整ってくれます。

交感神経の値は高めることができますが、副交感神経の値はそれだけを高めることはできません。必ず交感神経あっての副交感神経なのです。ですから健康にとって最も大切な副交感神経を高める極意は交感神経を高めるということになるのです。

 

では、どうやって交感神経を高めればよいのでしょう。簡単で誰でもできることから紹介していきたいと思います。

 

まずは冷水を浴びること、乾布摩擦などもよいでしょう。現代人は肌が甘やかされているのです。それによって交感神経が弱まっていることは見逃せません。お風呂の度にたわしで体を擦るのも効果的です。特に足の裏には全身につながる神経が集まっていますので効果的です。

 

かなり即効性があるのは笑うことです。最近では笑ヨガなどもあるようですが、効果があると思います。できれば人と対面して笑うことでより効果を発揮しますが、映画などで笑うのでも効果はあります。とにかくコツはおかしくなくても笑うことです。笑っているとおかしくなってくるものです。笑ったもの勝ちと考えて難しく考えずに笑うことです。

 

その他芸術作品に触れることでも交感神経は高まります。特に絵画をお勧めします。ぜひ、絵画展にお出かけください。本物に対峙した時に全身に感じる感動こそが自律神経を高めてくれます。本物の絵画芸術は対峙した時に「今、ここ」に強烈に連れ戻してくれるのです。例えばフェルメールの「牛乳をつぐ女」、牛乳が落下していくその瞬間、その時代に連れて行かれると同時に「今、ここ」を強烈に意識できるのです。絵画は当然のように止まっていますが、だからこそその瞬間が表現され、見た人を永遠性に連れて行ってくれるのです。深い感性が自分の内側から溢れてくるのを感じたらそれは交感神経そのものです。

 

運動も効果的です。しかし普段運動をしていない人はそうですが、スポーツ選手や普段運動をしている人の場合、別の方法を求めた方がよいでしょう。

 

そして、最も効果の高いメソッドをご紹介します。それがヨガです。

しかしながら、私の知る限りほとんどのヨガの指導者は勘違いをしてしまっています。ヨガを習ったことのある人ならわかると思いますが、副交感神経を高めることを目的として行ってしまっているのです。ですから先に書いた通り、副交感神経は実際には高まってきません。多少は効果はあります。しかし、ほとんどの場合、疲れが出た感じになり、一時的な緩みで終わってしまうのです。

 

すべてのヨガがそうであるとは言いませんが、ほとんどの人に必要なのは交感神経を高めるヨガです。それによって副交感神経も高めるのです。それには呼吸がカギを握っています。この呼吸の指導は単純ではありません。複数の呼吸法を織り交ぜるやり方が適していると思います。リラックスを促す呼吸がメインにはなりますが、鼻からの吐息、口からの吐息を織り交ぜます。そして息を止める方法もとります。その時イメージを使います。私の場合、骨を意識します。息を止めている時に骨に栄養が渡っているようにイメージします。イメージがそのまま現実になります。そしてお腹をへっこめた状態で息を吸うのです。その時、足の裏から吸っているイメージを持つと骨に栄養を渡らせるイメージがより強烈になります。そしてゆっくり、時には強く息を吐くのです。この時、丹田、足の裏、場合によっては全身から放射するように息を吐きます。

それをポーズに合わせて行うことで気が促されていくのです。ヨガ、気功、太極拳、他様々な教室で学んできたことを30年積み重ねていくうちにヨガの深い目的に近づくことができて、このようなヨガをお伝えしています。

 

ぜひ、自律神経というものと向き合い、健康を人任せにするのでなく、自分の人生を最後の最後まで豊かに過ごしていきたいものです。

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