自律神経失調症は様々な不定愁訴を伴い、ご本人にとってはとてもつらいものです。
病院に行っても体調不良の原因がわからず、自分でもどうしてこんなに体がだるいのか、胃腸の調子が悪いのか、不安が強いのか混乱しますが、どのように改善すればよいのかがわからず苦しんでしまう方が多くいます。
最近はネットから拾える情報も多く、自律神経失調症に対してもいろんな改善策が出てくると思います。もちろんその中にはとても有効な情報もあると思いますが、情報が多すぎて何を信じればいいのか、何を優先すればいいのか、疑問が晴れることはないかもしれません。
というのは、自律神経失調症といいましても個人差が実に在り、何が有効なのかは人によって違うからです。また今日できる確実な改善策は何かがわからず、無理して運動をし過ぎてしまったり、強いマッサージを受けたりして返って疲労感が増してしまうこともあるのではないでしょうか?
大切なのはこれまでの生活を振り返って、何が原因だったのか、何をやめればいいのかを明確にすることではないでしょうか?人によって原因は様々です。
夜中まで忙しく働かなくてはならなかった人、好んで夜中まで起きていて昼間は寝ていた人、人間関係で感情が募り、緊張状態が続いてしまった人、何不自由なく暮らしているがだらだらを一日を過ごしてしまい、姿勢も悪くソファでふんぞり返っていた人、間食が多く、糖分過多で食事も栄養が偏っていた人、仕事での責任感が強く我慢して頑張り続けてしまった人、能力が高いために会社で仕事をどんどん任され、キャパシティを超える量の仕事をし続けなくてはいけなかった人、自分で仕事をとらなくては生活ができないと休む間もなく働いて無理をしていた人、配偶者などの家族とうまくいっていなくて感情を抑えていた人など原因は様々です。
緊張や興奮を司る交感神経優位が続いていた人が多くを占めると思いますが、リラックスし過ぎ、何も動かずに緊張感のない生活をすることで自分の中に発散できないものがたまってしまって自律神経が崩れてしまう人もいるのです。この場合は副交感神経優位が続いていたことが原因です。
つまり交感神経と副交感神経はどちらも適度に刺激され、昼間は緊張感を持ちながら活動し、夜になるにつれて緊張がゆるみ、リラックスして夕飯を楽しみ、質のよいリラックス時間を過ごして睡眠に入る。そして朝になるとすぐにスイッチが入って活動モードになる。
このような自律神経のバランスが一日の中で安定して切り替わることができていれば自律神経失調症にはならないのですが、人間には心がありますから悩みに引っ張られます。理想とのギャップで苦しみ、予期せぬ事態にショックを受けたり、予定通りに進まないことにイライラしたり、自己嫌悪や仕事への意欲の欠如など、様々なことで心が憂鬱になり、それに引っ張られるように自律神経は理想通りに働かなくなるのです。
心の問題も大事ですが、大事にならないためには生活習慣、生活のリズム、例えば食事や睡眠時間などが崩れないようにするのがまずは重要です。また、ストレスがあっても適度に運動をして発散したり、頭が切り替わる趣味を楽しんだりすることでバランスを保つことが多少はできると思います。
今、悩んでいることを考え過ぎていたり、悪い方へばかり予想したり、心配し過ぎていることに気づいたら全く違うことに気持ちを切り替えて感情や思考に引っ張られないようにしましょう。
自分を社会の中で見失っていませんか?どんなに周りから評価されなくても、悪く言われようとも、誤解を受けようとも、自分を見失ってはいけません。周りの評価など気にし過ぎることはありません。言い訳もせず、自分のできることをまた明日からコツコツ行い、最善を尽くしていれば必ず事態は明るく変わります。自分を小さく感じないことです。誰に何を言われたとしても自分を信じられるのは自分だけです。勇気を持って足を一歩踏みだせばきっと風が変わります。
その姿を必ず誰かが見ています。
みんな社会の中で孤立しているのです。誰もが苦しんでいます。人間は多くの人がお互いを理解しようとせず、利用しようとしているのです。しかしその中においても心を大切にしている人もいます。あなたの周りにもきっといます。
ですから人間に失望せずに善意だけを信じてこのつらい世間を生き抜いてください。自分の心と体を大事にして何より健康が宝物だと思って、出世も大事ですがそれ以上に大切なものを失わずに一日一日を確かな一歩を積み重ねていけば自律神経は崩れることはありません。現在、崩れている方も必ず元に戻ります。自律神経というのは自然のリズムです。自分でどうにかしようと緊張するのではなく、大きな自然の力に任せていく、大らかな気持ちで過ごしていれば必ず元に戻るのです。
いろんな療法を受けるのもいいですが、まずは自分が自分を見失わずにしっかり地に足をつけて本当の自分を見つける。人生において本当に自分が大切にしたいものはなんだろうか、それをはっきりと自覚して他人の言葉に左右されない心を養うことこそ自律神経の安定には不可欠だと思います。